☆ 涙がよく出る（流涙）
このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
涙目でお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。
本症は、なにもしないのに自然と涙が出る状態を指し、中医では流涙という。ただし、涙菅や目の周辺の
異常によるもの、また、精神情緒の変動により涙が出るのは本項には含めない。
1.肝経風熱による流涙
：病因病機
肝気欝結、肝火上炎、肝陽上亢など肝に熱が欝して内風が生じる、あるいは肝に熱が鬱しているときに
外界の風邪を感受する。それらによる風熱が目に上攻するため流涙がおこる。
：鑑別点
風に当たると熱い涙が出る。眼の痒みを伴うこともある。
：随伴症状
両目の充血、面紅、口や鼻の乾燥、頭のふらつき、胸脇部の灼熱感、脹満感や脹痛、口苦、耳鳴り、口
渇多飲（冷飲を好む）など。
：舌脈 舌質－紅、舌苔－黄or薄黄。脈－数or浮数など。
：弁証－肝経風熱。 ：治法－去風清肝。
：取穴例
行間（瀉法）、陽陵泉（瀉法）－疏肝利胆。風池（瀉法）－潜陽熄風。
太陽（瀉法）、攅竹（瀉法）－清熱明目。
2.陰虚火旺による流涙
：病因病機
精血不足、津液虚損、熱病による傷陰、久病、房事過多、五志過極、飲酒過度などによって腎陰が消耗
したために内熱が生じて上炎し、目竅に阻滞するために流涙となる。
：鑑別点
日中に熱い涙が頻繁に流出し、夜間は乾燥して目の不快感がある。
：随伴症状
のぼせ、顔面紅潮、心煩、易怒、口乾、不眠、多夢、口苦、便秘、小便黄赤、遺精、夢交、消痩、耳鳴
り、腰膝酸軟など。
：舌脈 舌質－紅絳、舌苔－少or無苔。脈－細数。
：弁証－陰虚火旺。 ：治法－滋陰降火。
：取穴例
復溜（先瀉後補）－滋陰降火。風池（瀉法）－熄風潜陽。肝兪（補法）、太谿（補法）－補益肝腎。
太陽（瀉法）－清熱明目。
3.肝腎両虚による流涙
：病因病機
目の使いすぎ、出血過多や精血不足、津液虚損、多産、房事過多などによって肝腎両虚となると目を滋
養できなくなり、その影響で涙液を制御できなくなるために流涙となる。
：鑑別点
冷たい涙が頻繁に流出し、冷えると涙は増強する。
：随伴症状
目のかすみ、面色萎黄または淡白で不華、口唇や爪が淡白、不眠、多夢、るい痩、腰膝酸軟、手足の引
きつり、シビレ感など。
：舌脈 舌質－淡、舌苔－白薄。脈－細弱など
：弁証－肝腎陰虚。 ：治法－補益肝腎。
：取穴例
肝兪（補法）、太谿（補法）－補益肝腎。瞳子リョウ（補法）、攅竹（補法）、承泣－調補目竅。
4.肝経虚寒による流涙
：病因病機
目の使い過ぎ、脾虚による生血不足、失血過多、久病、多産による精血の消耗などによって血が不足し
て肝血虚となると目を栄養することができず、虚に乗じて風寒の邪気が目竅に停滞するために流涙とな
る。
：鑑別点
風に当たると冷たい涙が流れる。どちらかというと高齢の人に多い。
：随伴症状
めまい、不眠、夢をよく見る、筋の引きつりや拘急、爪が薄くもろい、面色や口唇が淡白または面色萎
黄、甚だしいと四肢の冷え、寒がるなど。
：舌脈 舌質－淡、舌苔－白滑。脈－細、沈遅など。
：弁証－肝経虚寒。 ：治法－散寒養血。
：取穴例
風池（瀉法）－去風。肝兪（補法）、太谿（補法）－補益肝腎。
瞳子リョウ（補法）、攅竹（補法）、承泣－調補目竅。