講演内容 - 婦人科系症状の鑑別と治療

投稿者: | 2018年2月16日

この回の講演内容は、婦人科系症状の鑑別と治療というテーマで解説と実技指導をさせていただきます。

婦人科系の症状に対する鍼灸治療では、不妊症はもちろん、生理痛や生理不順、無月経などの月経に関する症状、生理前の頭痛や胸の張り、便秘や食欲異常などの胃腸症状やイライラ感など精神情緒に関する症状、さらに生理後の目のかすみ、髪の毛のぱさつき、筋の痙攣や足がつる、倦怠感などの症状を改善することができます。
また、月経周期や月経期間、月経血の量や色、月経血の性状の状態(さらさらor粘稠)、帯下の状態も併せて調節が可能です。
これらの症状は、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、チョコレート嚢胞を始めとした婦人科系疾患により起こることもありますが、原発的に起こることも多いです。
病名や診断名に関わらず、もちろんこれらの原因がなくても施術可能であり、症状の改善を図ることが可能です。

中医では、子宮、卵巣や卵管など婦人科系内生殖器を総称して胞宮(女子胞)と言います。胞宮は“月経、安胎を主る”ことが生理作用となりますが、胞宮の調節を図ることにより、月経および月経期前後に出現する諸症状を改善することができ、着床しやすく、安定した妊娠期を過ごすことができ、なおかつ出産後の体調もスムーズに戻ることができます。また、更年期前後も安定して過ごすことができます。

婦人科系の症状は、実証では気滞(肝気欝結)、血オ、血熱(実熱)、実寒、痰濁(湿熱)阻滞、虚証では血虚(気血両虚)、腎精不足、虚寒で起こることが多いですが、鑑別のポイントとしては、問診により、月経周期、月経期間、月経量、経血の色、経血の性質、月経期前後に出現する諸症状、帯下の状態を確認します。
中医では、この原因によってこれらの状態がどのように変化するかというのが規定されているので、治療法を決定することは難しいことではありません。また、これらと併せて全身状態を鑑別することによって、かなり高い精度で改善を図り、高機能を維持することができます。

婦人科系の治療でよく使う局所取穴としては、気衝、帰来、子宮(奇穴)、中極、曲骨、次リョウおよび気海、関元です。厳密に言えば、これらのツボも虚実に併せて使い分けると、効率よく症状の改善を図ることができます。うまく使い分ければ、原発性の生理痛の場合、1~3回の施術でも日常生活上で全く問題なく生活できるくらいの著効を示すことは、誰にでもできることです。

今回のセミナーでは、上記のような月経状態の鑑別のポイントと、効率が良くて効果の高い取穴・配穴法を中心にお話と実技指導をさせていただきます。

 

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