講演内容 - 消化器系症状1~胃の症状の鑑別と治療

投稿者: | 2018年2月16日

この回の講演内容は、消化器系症状1~胃の症状の鑑別と治療というテーマで解説と実技指導をさせていただきます。

食欲不振、食後にお腹が張る、胸焼け、ゲップが多いなどの胃の症状も、日常的によく診られる症状の一つです。胃の病因としては降濁作用が失調するためにこれらの症状が出現しますが、同時にそれらを引きおこす原因を改善することによりほとんどの症状を消失あるいは軽減することが可能です。

よくある原因としては、実証では肝気欝結、痰湿(湿熱)阻滞、胃熱、飲食による実寒を含む外邪の阻滞、あるいは暴飲暴食などによっておこり、虚証では脾胃気虚、、脾腎陽虚、胃陰虚などによっておこることが多いです。
これらの基本的な鑑別については、臓腑弁証におけるそれぞれを構成する症状から鑑別すれば良いのでさほど難しいことではありませんが、当日はそれらをさらに簡単に鑑別するポイントを説明します。
実技練習については、原因を改善するための臓腑取穴はもちろん、降濁作用を改善することができる取穴および配穴を説明します。

降濁作用を改善する基本的な配穴としては中カンと足三里です。補瀉手技を選択する、温法や清法を使い分けることにより、胃の虚実寒熱すべての原因によって失調した胃の降濁作用を改善することができます。

虚によるものに対しては脾兪を配穴すると良く、虚寒によるものには関元を配穴すると良いです。実によるものに対しては、胃腑の理気の作用のある上カン、食滞の時に主穴となる下カン、中焦の理気を図ることができる内関、胃気の衝逆を改善することのできる公孫、胃の熱邪を取り去ることのできる内庭を紹介し、正しい施針方法を説明しながら実技指導をさせていただきます。
もちろん正しい方向や角度で刺鍼することにより、正確な響きを得ることが最短期間で症状を改善できることは言うまでもありません。

また、もう一つの施術上のポイントとしては、婦人科系症状や泌尿器科系症状に対する施術と同様に、胃の症状を改善する際には温法を併用することが多いと思います。温法を併用することにより機能を改善し、免疫力をも高めることができますが、過度の温法や不必要な温法の併用は“胃腑や陽明に熱邪を阻滞させる”こととなります。正しい温法の併用法についても説明をさせていただきます。

 

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