講演内容 - 消化器系症状2~排便異常に関するの鑑別と治療
この回の講演内容は、消化器系症状2~排便異常に関するの鑑別と治療というテーマで解説と実技指導をさせていただきます。
排便異常は、便秘、下痢、、大便失禁、膿血便、すっきり排便できないなどの状態を指します。いずれも中医学では大腸の伝導作用が失調したために起こると考えます。
中医学的な便秘の分類は、
・気滞によって起こる気秘。
・虚熱、実熱など熱邪によって起こる熱秘。
・気虚や血虚など虚によって起こる虚秘。
・寒邪など陰寒内盛によって起こる冷秘に分類されます。
下痢は、湿熱や寒湿など湿邪の阻滞、食滞、肝気欝結や、気虚や陽虚によっておこることが多いです。
これらの排便異常の鑑別は、最終的には全身状態や病因病機などから鑑別して治療方針を決定しますが、ある程度以上は便の性状からも鑑別することが可能です。講義ではその鑑別のポイントを詳しく説明をさせていただきます。
排便異常を治療する際の配穴としては、全身状態を改善するための弁証取穴と、大腸に作用させるための局所取穴に分けられますが、弁証取穴については、他の部位の治療と同様に、同じ弁証であれば同じ配穴を行うことができる、いわゆる“異病同治”の方法に基づいて配穴できます。
局所取穴に関しては、
実証によるものには天枢が主穴となり、虚証によるものでは大腸兪が主穴になります。<BR>
虚によるものは、補気あるいは養血を図りながら大腸兪に補法を行う、同時に気海や次リョウなどにも補法を行い、全身を強めながら大腸および下焦の機能を高めることが必要です。
実によるものは、利湿や去痰、理気、あるいは消食、時には活血を図りながら、天枢や上巨虚に瀉法を行い、大腸および下焦の腑気を疏通させることが必要です。
実によるもの(虚の症状がないもの)では、天枢に瀉法を行い通腸導滞を図ることにより、単純性な便秘などの排便異常は、1~数回の施術で改善することができます。ただし、弁証取穴が合っているかどうかと言うことと、天枢に刺鍼した際に下方に(陽明経に沿って)引きつれるような針響を出すことが必要です。
実技指導については特にそのことについて詳しく説明をさせていただきます。