講演内容 - 整形外科系症状の治療 3
この回の講演内容は、整形外科系症状の治療3
~腰痛、股関節、膝関節や足関節、大・下腿など下肢および下肢帯の中国式治療法~というテーマでお話と実技指導をさせていただきます。
日常的によく診られる膝関節の痛み、内反捻挫後遺症などによる足関節の痛みやそれによる継続的な免荷状態、下腿の張りによってしっかりと荷重をかけられないために起こる下肢の張りや、下肢の各関節の痛みや違和感などは、日常的によく診られる症状ですが鍼灸治療によってしっかりと改善が見込める症状でもあります。
しかし、治療内容がその患者様の主訴や原因となっている場所に対して対応できていない、あるいは状態の虚実寒熱を把握できていないと、改善できるまでに相当の時間がかかることもあり得ますが、その施術部位を見直すことによって、数回の施術でも症状の消失、相当な軽減を図ることができます。
施術時のポイントは、まずは局所の虚実寒熱を把握しそれに適合した補瀉手技を行うことと、主訴である局所に正確に刺鍼することです。
特に、膝や足関節など、関節局所の痛みなどの症状に対しては、その局所の拒按となっている部位に正確に刺鍼して瀉法を行うこと。強い痛みが落ち着いた後に、膝関節であれば内・外膝眼、足関節であれば丘墟に刺鍼して各関節の安定性を高めることが必要です。
また、下腿の張りに対しては、下腿前面であれば前脛骨筋外側縁部に、下腿後側面であればふくらはぎ上端の硬結に対して刺鍼すると筋硬結をしっかりと緩めることができ、歩行時にも踏ん張りが効くようになります。承筋穴や承山穴への刺鍼では得ることができない効果です。
また、腰痛の治療時においては、まずは腰部の硬結に対して刺鍼することが重要、経筋施術の際にはツボにこだわる必要はありません。硬結の虚実寒熱に応じた補瀉手技を行うことと、脊際1行線の筋硬結を緩めることがまずは必要です。
もう一つの重要なポイントが、臀部と腸骨稜上縁や下縁の硬結を緩めることです。臀部と腸骨稜上縁や下縁への刺鍼は3寸以上の長さの鍼を用いること。その部位が緩まないと、腰痛の改善ができないことがあります。また、必要に応じて股関節外側部(大転子上部)の硬結を改善すること。
これは腰痛の改善になると同時に、下肢のすべての症状の改善につながることも多いです。
これらの施術によって上記の症状は数回で改善できることが多いです。施術後の患者様の笑顔が違います。
ただし、使用する鍼の選択や刺鍼部位、刺鍼する方向や角度、必要とする鍼の響きが正しくないと効果は少ない、または全く効果が出ないこともあるので、今回のセミナーではそれらのことについて刺鍼方法を実演し皆さん同士で練習していただきます。