月経期の頭痛(経行頭痛)

☆ 月経期の頭痛(経行頭痛)

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本症は、毎回の月経期あるいは月経前後に頭痛を感じるものを指し、中医では経行頭痛という。ただし、月
経期にたまに頭痛がある程度の場合には、本症には含めない。

1.肝火上炎による経行頭痛
:病因病機
 長期にわたるストレスや精神的な抑欝、突然に強い精神的刺激を受けるなどによって肝気欝結となり、肝
欝の状態が続くと化火して肝火上炎となる。その肝火が清竅を塞ぐために頭痛がおこる。
:鑑別点
 月経前や月経期におこる頭頂部の脹痛。めまいやのぼせを伴うことが多い。
:随伴症状
 経早、経血は鮮紅で量が多いor暗紅で粘稠、面紅目赤、口渇多飲(冷飲を好む)、胸脇部灼熱感、口苦、
 イライラ感、易怒、めまい、便秘、小便黄赤など。
:舌脈 舌質-紅、苔-黄。脈-弦数。
:弁証-肝火上炎。 :治法-清泄肝火、通絡止痛。
:取穴例
 行間(瀉法)-清泄肝火。陽陵泉(瀉法)-疏肝利胆。風池(瀉法)-熄風潜陽。

2.肝陽上亢による経行頭痛
:病因病機
 精血不足、陰津虚損、熱病による傷陰、久病、房事過多、五志過極、飲酒過度などにより陰液を損傷して
 陰虚となり、その影響で肝陽が上亢するために頭痛がおきる。
:鑑別点
 月経前や月経期におこる、頭のふらつきと頭頂部が脹ったような感覚の頭痛。
:随伴症状
 経早、経血は鮮紅で量が多いor暗紅で粘稠、急躁、易怒、顔面紅潮、イライラ感、口苦、めまい、頭部脹
 痛、耳鳴り、五心煩熱、不眠、多夢、腰膝酸軟、頭重足軽など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-少または無苔。脈-細数、弦細数。
:弁証-肝陽上亢。 :治法-平肝潜陽、通絡止痛。
:取穴例
 太衝(瀉法)、陽陵泉(瀉法)-疏肝利胆。風池(瀉法)-熄風潜陽。照海(補法)-滋陰補腎。

3.血オによる経行頭痛
:病因病機
 肝気欝結、寒邪や熱邪、湿邪などの停滞からの波及、あるいは外傷、手術、悪露の停滞などが原因となって
 オ血が生じ、血オが絡脈を阻滞させ、清竅を塞ぐために頭痛がおこる。
:鑑別点
 月経前や月経期におこる、固定性でチクチク刺されるような感覚の頭痛。
:随伴症状
 経血紫暗で少なく血塊が混じる、下腹部の固定性の強い痛み(刺痛あるいは絞痛)を伴い、血塊が排出され
 ると下腹部痛は軽減する。
:舌脈 舌質-紫暗、オ斑、オ点など。脈-渋など。または舌脈正常。
:弁証-血オ。 :治法-活血化オ、通絡止痛。
:取穴例
 太衝(瀉法)、膈兪(瀉法)-行気活血。頭痛部位局所に瀉法。

4.血虚による経行頭痛
:病因病機
 脾虚による生血不足、失血過多、久病、多産による生血の消耗などによって血虚となると、脳を栄養するこ
 とができずに脳髄が不足し、月経期にはさらに血が不足するために頭痛が起こる。
:鑑別点
 月経後半あるいは月経終了後におこる頭部の隠痛。
:随伴症状
 経遅、経量少なく淡紅で清稀、下腹部の隠痛、面色萎黄または淡白で不華、口唇や爪が淡白、不眠、めまい、
 目のかすみ、四肢のシビレ感など。
:舌脈 舌質-淡。脈-細など。
:弁証-血虚。 :治法-益気養血。
:取穴例
 脾兪(補法)、血海(補法)、足三里(補法)-益気養血。百会(補法)-昇陽益気。