夢をよく見る(多夢)
☆ 夢をよく見る(多夢)
このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
この症状でお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。
本症は、睡眠中に見る夢が多いことを指すが、嫌な夢、恐ろしい夢などを見たために不快感を感じたり、夢
を多く見るためにぐっすり眠れず、そのために日中は頭がぼーっとして疲労感を感じるなど、身体的に悪影
響を及ぼすものが病態となる。時に夢を見たり、夢を見ても目覚めた後に不快感を残さないものは本項には
当てはまらない。
1.心腎不交による多夢
:病因病機
房事過多、久病などにより腎陰を損傷すると心火が亢進する。また、五志過極などにより心火が亢進する
と腎陰が損傷される。心火の亢盛と腎陰の損傷により心腎不交となる影響で心神不安となり多夢となる。
:鑑別点
多夢。寝つきが悪い、眠りが浅い。
:随伴症状
心悸、心胸煩熱、健忘、五心煩熱、口乾、めまい、耳鳴り、腰膝酸軟、遺精など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-少or無苔。脈-細数。
:弁証-心腎不交。 :治法-滋陰降火、交通心腎。
:取穴例
神門(瀉法)、大陵(瀉法)-清心瀉火。風池(瀉法)-潜陽。復溜(先瀉後補)-滋陰降火。
太谿(補法)-補益腎陰。
2.心脾両虚による多夢
:病因病機
思慮過度や、失血は心を損傷し、飲食不節や労倦は脾を損傷する。気血の生成と血の循環は心と脾が協
調して行うために心の損傷は脾に、脾の損傷は心に波及しやすく、そのために心脾両虚となり、心神を
栄養 できなくなると多夢となる。
:鑑別点
多夢。肉体疲労、精神疲労によって多夢が悪化する。
:随伴症状
心悸、不眠、精神不安、精神疲労、食欲不振、大便溏薄、易疲労、無力感、面色不華など。
:舌脈 舌質-淡、舌苔-白薄。脈-虚弱など。
:弁証-心脾両虚。 :治法-補益心脾。
:取穴例
神門(補法)、三陰交(補法)-補益心脾。脾兪(補法)-健脾益気。百会(補法)-昇陽益気。
3.心胆気虚による多夢
:病因病機
元来の虚弱体質のため、または強い驚きや恐怖が続くために心胆の気が消耗し、そのために心神不安と
なる影響で多夢となる。
:鑑別点
多夢。恐ろしい夢をよく見る。
:随伴症状
ビクビクと恐がる、驚きやすい、怒りっぽい、情緒不安定、疑い深くなり決断できなくなる、心悸など。
:舌脈 舌質-淡。脈-細弱など
:弁証-心胆気虚。 :治法-益気鎮驚、養心安神。
:取穴例
心兪(補法)、胆兪(補法)-益気鎮驚。神門(補法)-養心安神。
4.痰熱による多夢
:病因病機
脂濃いものや甘いもの、味の濃いものの過食やアルコールの常飲などによって生じた痰湿が中焦に停滞し
て化熱する、あるいは持続的なストレス、怒り、強い精神的刺激によって肝欝から気欝化火して津液を濃
縮したために痰熱が生じ、清陽が昇らず、濁陰が降りず、そのために心神に影響すると多夢となる。
:鑑別点
多夢。
:随伴症状
胸苦しい、水分を飲むと吐く、食欲不振、手足や陰部の湿り、痰が多い、梅核気、浮腫、頭重、身重感、
イライラ感、易怒など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-黄膩。脈-滑数など。
:弁証-痰熱。 :治法-清熱去痰。
:取穴例
豊隆(瀉法)、内庭(瀉法)-清降痰熱。中カン(瀉法)-去痰。内関(瀉法)-理気散滞。
頭維(瀉法)-降濁。