よく汗をかく(発汗・多汗)
☆よく汗をかく(発汗・多汗)
このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
この症状でお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。
本症は、よく汗をかく、発汗量が多い状態を指し、発汗量が異常に多いものを中医では大汗という。
1.実熱による発汗・多汗
:病因病機
素体の陽気が盛んな体質の者(いわゆる熱がりのタイプ)や、体内の陽気の亢進、外邪や病理産物の停滞
による邪欝化火、気滞から波及した気欝化火、あるいは五志過極などによって実熱傾向となるためにおこる。
:鑑別点
よく汗をかく。季節や時間などによる変化はなく、年中熱がる。熱いものの飲食や入浴、気温の上昇にと
もなって発汗量が増える。
:随伴症状
全身症状はない、または項背部の熱感あるいは熱がる、面紅目赤、口渇多飲(冷飲を好む)、便秘、小便
黄赤など。
:舌脈 舌質-紅。舌苔-黄。脈-数。
:弁証-実熱。 :治法-清泄実熱。
:取穴例
大椎(瀉法)、曲池(瀉法)、合谷(瀉法)-清泄実熱。
2.湿熱による発汗・多汗
:病因病機
脂濃いものや甘いもの、味の濃いものの過食やアルコールの常飲、外界の湿邪などによって生じた湿熱が
内蘊するためにおこる。
:鑑別点
動き始めや活動時に熱さを感じて発汗するが、その後風にあたったりじっとしていると冷えを感じる。
あるいは身熱不揚。
:随伴症状
口が粘る、口渇少飲または多飲(冷飲を好む)、カン腹脹満、頭重、身重感、身熱不揚、小便短赤、泥状
便ですっきり排便できないなど。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-黄膩。脈-滑数など。
:弁証-湿熱阻滞。 :治法-清熱利湿。
:取穴例
中極(瀉法)、陰陵泉(瀉法)-清熱利湿。豊隆(瀉法)、中カン(瀉法)-去痰降濁。
大椎(瀉法)-清泄実熱。
3.風湿による発汗・多汗
:病因病機
風湿の邪気が肌表に侵襲し、衛気を停滞させるために発汗する。
:鑑別点
断続する少量の発汗。常に悪風をともなう。
:随伴症状
発熱、頭痛、身重感、小便不利、下痢、食欲不振など。
:舌脈 舌苔-白薄。脈-浮緩。
:弁証-風湿症。 :治法-去風利湿。
:取穴例
風池(瀉法)-去風。陰陵泉(瀉法)-利湿。外関(瀉法)-解表。
4.熱盛陽明による発汗・多汗
:病因病機
感受した風寒の邪気が化熱する、あるいは風熱の邪気を感受しそれらが解表せずに陽明に伝搬したために
発汗する。
:鑑別点
大汗。
:随伴症状
熱がる、口渇多飲(冷飲を好む)、顔面紅潮、煩燥、小便黄赤、便秘など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-黄で乾燥。脈-洪大で有力
:弁証-熱盛陽明。 :治法-清熱瀉火。
:取穴例
内庭(瀉法)、合谷(瀉法)-清陽明実熱。大椎(瀉法)、曲池(瀉法)-清泄実熱。
5.暑熱傷気による発汗・多汗
:病因病機
梅雨時や夏季の蒸し暑いときに、感受した暑熱の邪気が陽明に直中し、その影響で気や津液を損傷したた
めに。
:鑑別点
大汗。
:随伴症状
壮熱、口渇多飲(冷飲を好む)、顔面紅潮、倦怠無力感、息切れ、懶言、尿量減少、便秘など。
:舌脈 舌質-紅。舌苔-黄乾。脈-洪大or虚数。
:弁証-暑熱傷気。 :治法-清暑泄熱、益気養陰。
:取穴例
委中(瀉法)、曲沢(瀉法)-清暑解毒。大椎(瀉法)-清気分熱。
気海(補法)-培補元気。太谿(補法)-補益腎陰。