気血津液弁証 ~ 血病弁証

☆気血津液弁証-血病弁証

A.血虚証
血のもつ濡養(栄養、滋潤)作用の低下を指す。
:病因病機
脾虚による生血不足、失血過多、久病、多産による精血の消耗などのために血虚となる。
:基本症状-面色淡白または面色萎黄、爪や口唇の色が淡白、めまい、不眠、多 夢、爪が 薄くもろい、目のかすみ、四肢のシビレ感、経量少、経遅など。
:舌質-淡。脈-細弱など。
:治法-養血。
:血虚証治療の基本穴である-血海、脾兪、足三里などに補法を行い益気養血を図る。

①心血虚証
:主症状
血虚証の基本症状に加えて心悸、セイチュウ、不眠、眩暈、健忘などが出現する。
:舌質-舌質-淡。脈-細弱など。
:治法-補益心血。
:取穴例-上記基本穴に加えて心兪、神門などに補法を行う。

②肝血虚証
:主症状
血虚証の基本症状に加えて目の乾燥や異物感、胸脇部隠痛、四肢のシビレ感や引きつりなどが出現する。
:舌質-淡。脈-弦細、細弱など。
:治法-補益肝血。
:取穴例-上記基本穴+肝兪などに補法を行う。

B.血熱証
:病因病機
陽盛内熱の体質、辛いものや刺激物などの嗜好、辛熱助陽の薬物の過服などにより生じた実熱が血分に移るために血熱となる。
:主症状
夜間に熱がる、皮膚の灼熱感、衄血、吐血、血便、不正出血など身体各所の出血、顔面紅潮、煩燥、不眠、口渇少飲または多飲(冷飲を好む)、焦燥感など。
:舌質-紅絳、舌苔-黄。脈-数で有力。
:治法-清熱涼血。
:取穴例
血海(瀉法)-清熱涼血、大椎(瀉法)-清泄実熱。

C.血溢証
:病因病機
血溢証は、血熱による血液循行の失調、脾気虚による統血作用の低下、虚熱などによる脈絡の損傷によっておこる出血傾向を指す。
:主症状
咳血、鼻衄、歯衄、吐血、尿血、不正出血などの出血傾向。
:治法、取穴例
a-熱邪によるもの-血熱証と同じ。
b-脾気虚によるもの
:治法-健脾統血。
:取穴例-血海、三陰交などに補法を行う。
c-虚熱によるもの
:治法-滋陰清熱。
:取穴例-復溜に先瀉後補、照海などに補法を行う。

D.血オ証
:病因病機
気滞、寒凝、外傷、気虚、痰濁、血虚などによって血行不良となり、そのために局所に血が阻滞するために血オとなる。
:主症状
オ血が阻滞した局所の固定性の刺痛あるいは絞痛、拒按、甚だしくなると局所の腫塊を形成する、肌膚甲錯、口渇するが飲みたくないなど 。
:舌質-紫暗、オ斑、オ点など。脈-渋など。または舌脈正常。
:治法-活血化オ。
:取穴例-オ血の阻滞した局所に瀉法を行う。
必要に応じ、三陰交、膈兪などに瀉法を行い全身の活血を図る。

E.血寒証
:病因病機
外界の寒邪が血分に侵入し、局所の脈絡を阻滞させるために血寒となる。
:主症状
血寒となった局所の疼痛、拒按、暖めると疼痛は軽減し、冷えると悪化する、四肢や全身の冷えなど。
:舌質-淡暗。舌苔-白。脈-沈遅、沈緊など。
:治法-温経散寒。
:取穴例-痛みのある局所に刺鍼(瀉法)を行う。温法を併用するとよい。