下腹部中央の痛み(小腹痛)

☆ 下腹部中央の痛み(小腹痛)

このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
下腹部痛でお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。

本症は、下腹部中央の痛みを指し、中医では小腹痛という。小腹は腎、膀胱、精宮、胞宮との関連が深い
とされている。なお、胞宮が原因としておこる小腹痛は、婦人科系症状の治療の生理痛の項で述べるので
そちらを参照のこと。

1.気滞による小腹痛
:病因病機
 気滞、寒邪、熱邪、湿熱、?オなどが膀胱の気機を阻滞させるために小腹痛がおこる。
:鑑別点
 疼痛よりも脹満感が強い小腹痛。
:随伴症状
 すっきり排尿・排便できない、胸脇部の脹満や脹痛など。
:舌脈 舌苔-白薄。脈-弦など。
:弁証-気滞。 :治法-理気止痛。
:取穴例
 気海(瀉法)、太衝(瀉法)、支溝(瀉法)-行気散滞。
 中極(瀉法)-通利小便。天枢(瀉法)-通腸導滞

2.血オによる小腹痛
:病因病機
 肝気欝結、寒邪や熱邪、湿邪などの停滞による気滞からの波及、あるいは外傷、手術、悪露の停滞などが
 原因となって生じたオ血が、小腹部に阻滞するために小腹痛がおこる。
:鑑別点
 強く、固定性の小腹痛(刺痛や絞痛で拒按)。
:随伴症状
 痛みの局所の圧痛(拒按)、テール便、甚だしくなると腫塊を形成するなど。
:舌脈 舌質-正常またはオ斑、オ点。脈-正常または弦。
:弁証-血オ。 :治法-通利活血、止痛。
:取穴例
 三陰交(瀉法)-活血化オ。気海(瀉法)、期門(瀉法)-行気散滞。
 中極(瀉法)-通利小便。天枢(瀉法)-通腸導滞。

3.膀胱湿熱による小腹痛
:病因病機
 脂濃いものや甘いもの、味の濃いものの過食やアルコールの常飲などにより中焦に溜まった湿熱が下焦に
 流注して膀胱の気化を阻滞させ、その影響で小腹痛がおこる。
:鑑別点
 多くは急激に発症する小腹部の膨満感と疼痛。排尿時に尿や尿道の灼熱感や排尿痛を伴う。
:随伴症状
 小便短赤、頻尿、尿意急迫、身熱、口渇少飲または多飲(冷飲を好む)、尿意急迫、排尿痛あるいは排尿困
 難、尿混濁など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-黄膩。脈-数、滑数など。
:弁証-膀胱湿熱。 :治法-清利膀胱湿熱、止痛。
:取穴例
 中極(瀉法)、陰陵泉(瀉法)-清熱利湿。気海(瀉法)-行気散滞。

4.胃腸実熱による小腹痛
:病因病機
 陽盛体質の者や辛いもの、脂濃いものや味の濃いものの過食やアルコールの常飲などによって胃の気機が
 阻滞して化熱する、あるいは外感や内傷の熱邪が胃に停滞するために胃熱が生じ、胃熱が大腸に積滞する
 ために小腹痛がおこる。
:鑑別点
 急性で持続性の腹部脹痛。
:随伴症状
 圧痛(拒按)、身熱、便秘、小便短赤、悪心、口渇少飲または多飲(冷飲を好む)、心煩、不眠など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-黄で乾燥。脈-滑数など。
:弁証-胃腸実熱。 :治法-清胃腸熱、止痛。
:取穴例
 内庭(瀉法)、合谷(瀉法)-清陽明実熱。天枢(瀉法)、上巨虚(瀉法)-通腸導滞。

5.寒凝気滞による小腹痛
:病因病機
 急激に身体を冷やしたため、あるいは冷たいもののを多飲・多食したために、寒邪が中焦に直中しした影響で
 小腹痛がおこる。
:鑑別点
 急激におこる激しい小腹痛。痛みは冷やすと悪化し、暖めると軽減する。腹部は拒按となる。
:随伴症状
 腹部冷痛(拒按喜温)、腸鳴、下痢(水様便)、腹脹、食欲不振など。
:舌脈 舌質-淡紅、舌苔-白薄など。脈-沈緊など。
:弁証-寒凝気滞。 :治法-温中散寒、理気止痛。
:取穴例
 神闕(棒灸)-温散寒邪。足三里(棒灸または灸頭鍼(瀉法))-温胃導滞。気海(瀉法)-行気散滞。

6.下焦虚寒による小腹痛
:病因病機
 疲労や過労、久病、老化などによって気を消耗すると火衰となりやすく、その影響で下焦の虚寒となり、下焦
 を温煦できなくなるために小腹痛がおこる。
:鑑別点
 小腹痛は持続性の隠痛(喜按)。冷やすと悪化し、暖めると軽減する。
:随伴症状
 寒がる、四肢の冷え、面色淡白、泥状便~水様便、小便清長など。
:舌脈 舌質-淡、舌苔-白。脈-沈細など。
:弁証-下焦虚寒。 :治法-温補下焦。
:取穴例
 関元(灸or灸頭針(補法))、腎兪(灸or灸頭針(補法))-温腎壮陽。気海(補法)-培補元気。