めまい(眩暈)

投稿者: | 2017年10月24日

☆ めまい(眩暈)

このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
めまいでお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。

めまいは中医では眩暈という。“眩”は目がかすんで目の前が暗くなることをいい、“暈”は物が揺れ動い
て見えたり、視界がぐるぐると回転しているように見えることをいう。両者は同時におこることが多いため
に眩暈、あるいは頭暈などと称される。

1.肝陽上亢によるめまい
:病因病機
 精血不足、陰津虚損、熱病による傷陰、久病、房事過多、五志過極、飲酒過度などにより陰液を損傷し
 て陰虚となり、その影響で肝陽が上亢するためにめまいがおこる。
:鑑別点
 めまい、頭のふらつき。頭頂部の脹痛をともなうことが多く、ストレスや精神的緊張によってめまいが出
 現または悪化する。
:随伴症状
 急躁、易怒、顔面紅潮、イライラ感、口苦、五心煩熱、不眠、多夢、腰膝酸軟、頭重足軽など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-少または無苔。脈-細数、弦細数。
:弁証-肝陽上亢。 :治法-平肝潜陽。
:取穴例
 太衝(瀉法)、陽陵泉(瀉法)-疏肝利胆。風池(瀉法)-熄風潜陽。照海(補法)-滋陰補腎。

2.痰濁阻滞によるめまい
:病因病機
 脂濃いものや甘いもの、味の濃いものの過食やアルコールの常飲、あるいは外界の湿邪などによって生
 じた痰湿が中焦に停滞したために清陽が昇らず、濁陰が降りないためにめまいがおこる。
:鑑別点
 回転性のめまい、頭重感を伴うことが多い。
:随伴症状
 胸苦しい、水分を飲むと吐く、食欲不振、手足や陰部の湿り、浮腫、痰が多い、頭重、身重感、悪心など。
:舌脈 舌苔-白膩。脈-滑など。
:弁証-痰濁阻滞。 :治法-去痰降濁。
:取穴例
 豊隆(瀉法)、陰陵泉(瀉法)-燥湿化痰。中カン(瀉法)-去痰降濁。頭維(瀉法)-降濁。

3.気血両虚によるめまい
:病因病機
 飲食不節、疲労・過労、思慮過度、久病などによって気虚となり、同時に慢性病による体力の消耗、慢性
 的な出血、多産による精血の消耗などのために血虚となり、気血両虚となって頭部を栄養できなくなるた
 めにめまいがおこる。
:鑑別点
 めまい、頭のふらつき。精神疲労や肉体疲労時に悪化し、横になったり身体を休めると軽減する。
:随伴症状
 頭痛(隠痛)あるいは頭重、面色淡白または萎黄、口唇や爪の色が淡白、不眠、心悸、精神疲労、倦怠感、
 無力感、息切れ、懶言、自汗など。
:舌脈 舌質-淡。脈-細弱など。
:弁証-気血両虚。 :治法-気血双補、昇陽益気。
:取穴例
 脾兪(補法)、血海(補法)-健脾生血。気海(補法)-培補元気。百会(補法)-昇陽益気。

4.腎精不足によるめまい
:病因病機
 先天不足、久病、重病、不養生、房事過多などによって腎精が不足すると、髄海を満たすことができない
 ためにめまいがおこる。
:鑑別点
 めまい、頭のふらつき。
:随伴症状
 腰膝酸軟、健忘、早老、性欲減退、耳鳴り、難聴、脱毛、歯の動揺など。
:舌脈 舌質-淡、苔-白薄。脈-虚、弱で尺脈無力。
:弁証-腎精不足。 :治法-補益腎精。
:取穴例
 腎兪(補法)、太谿(補法)、関元(補法)-補腎倍本、補益精血。百会(補法)-昇陽益気。