☆ 月経期の鼻出血や口腔出血、吐血（経行吐衄）
このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
これらの症状でお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。
1.肝火上炎による経行吐衄
：病因病機
長期にわたるストレスや精神的な抑欝、突然に強い精神的刺激を受けるなどによって肝気欝結となり、肝
欝の状態が続くことによって化火して肝火上炎となる。そのために発生した実熱が血分に移って迫血妄行
するために出血する。
：鑑別点
月経前や月経期におこる吐衄。出血は紅色粘稠で量が多い。
：随伴症状
経早、経血は鮮紅で量が多いor暗紅で粘稠、面紅目赤、口渇多飲（冷飲を好む）、胸脇部灼熱感、口苦、
イライラ感、易怒、頭痛、めまい、便秘、小便黄赤など。
：舌脈 舌質－紅、苔－黄。脈－弦数。
：弁証－肝火上炎。 ：治法－清泄肝火、涼血止血。
：取穴例
行間（瀉法）－清泄肝火。陽陵泉（瀉法）－疏肝利胆。風池（瀉法）－潜陽熄風。
血海（瀉法）－清熱涼血。
2.胃熱による経行吐衄
：病因病機
辛いもの、油濃いものや味の濃いものの過食や、アルコールの常飲などによって胃の気機が阻滞して化熱
する、あるいは外感や内傷の熱邪が胃に停滞するために胃熱が生じ、その胃熱が血分に移行したために出
血する。
：鑑別点
月経前や月経期におこる吐衄。歯齦の出血や腫脹、歯痛をともなう。出血は紅色粘稠で量が多い。
：随伴症状
経早、経血鮮紅で量が多いor暗紅で粘稠、胃カン部の灼熱感や不快感、口渇少飲（冷飲を好む）、口臭、
呑酸、口苦、便秘、小便黄赤など。
：舌脈 舌質－紅、舌苔－黄。脈－数、滑数など。
：弁証－胃熱。 ：治法－清泄胃熱、涼血止血。
：取穴例
内庭（瀉法）－清泄胃熱。血海（瀉法）－清熱涼血。風池（瀉法）－潜陽。
3.脾不統血による経行吐衄
：病因病機
飲食不節、思慮過度、疲労や過労などによって脾気虚となると、月経時にはさらに気虚が強まり、統血作
用が低下するために出血する。
：鑑別点
月経中や月経終了後におこる吐衄。出血は淡紅希薄、量が多い。疲労時に吐衄は悪化する。
：随伴症状
経早、経血は希薄で淡紅、量が多い、希薄な白帯、崩漏などの身体各所の出血傾向、めまい、心悸、息切
れ、食欲不振、疲労感、脱力感、懶言、面色萎黄など。
：舌脈 舌質－淡、胖、歯痕、舌苔－白薄。脈－細弱など。
：弁証－脾不統血。 ：治法－健脾統血。
：取穴例
三陰交（補法）、脾兪（補法）－健脾統血。血海（補法）－健脾生血。気海（補法）－培補元気。
4.肺腎陰虚による経行吐衄
：病因病機
出血過多や精血不足、津液虚損、熱病による傷陰、久病、房事過多、五志過極、多産などによって陰血を
消耗して、腎陰虚となると肺陰も損傷しやすくなり、肺系の脈絡を損傷するために出血がおこる。
：鑑別点
月経中や月経終了後におこる吐衄。特に鼻出血がおこる。出血は紅色で量が少ない。
：随伴症状
経早、経量少なく鮮紅または暗紅で粘稠、頭のふらつき、口や喉の乾燥、咳嗽または乾咳、粘稠で少量の
痰、嗄声、頬部紅潮、午後潮熱、盗汗、五心煩熱など。
：舌脈 舌質－紅、舌苔－少or無苔。脈－細数。
：弁証－肺腎陰虚。 ：治法－滋陰潤肺、涼血止血。
：取穴例
復溜（先瀉後補）－滋陰降火。列欠（瀉法）－粛肺理気。太谿（補法）、太淵（補法）－滋補肺腎。