白い帯下(白帯)

投稿者: | 2017年10月18日

☆ 白い帯下(白帯)

このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
帯下(おりもの)の症状でお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。

本症は、膣粘液が増加して帯状に流出する、白色の帯下を指す。排卵期前後や、妊娠初期には帯下が増加す
るのは生理的なことであるが、それ以外の時期にも帯下が増加する、あるいは臭気が強い、または下記のよ
うな全身症状をともなう場合に病態と考えばよい。

1.痰湿による白帯
:病因病機
 脂濃いものや甘いもの、味の濃いものの過食やアルコールの常飲、外界の湿邪、月経期に性交する、ある
 いは肝欝気滞から痰湿阻滞を引きおこすなどによって生じた痰湿が帯脈に侵入するためにおこる。
:鑑別点
 多量で粘稠な白帯。手足や陰部、全身の湿りを伴う。
:随伴症状
 経血暗紅、経量が少なく粘稠で線状物が混じる、浮腫、痰が多い、胸苦しい、水分を飲むと吐く、食欲不
 振、頭重、めまいなど。
:舌脈 舌苔-白膩。脈-滑など。
:弁証-痰湿阻滞。 :治法-去痰降濁、止帯。
:取穴例
 豊隆(瀉法)-化痰降濁。気海(瀉法)、中極(瀉法)-行気利水。帯脈(瀉法)-利湿止帯。

2.湿熱阻滞による白帯
:病因病機
 脂濃いものや甘いもの、味の濃いものの過食やアルコールの常飲、外界の湿邪、月経期に性交するなどに
 よって生じた湿熱が帯脈に侵入するためにおこる。
:鑑別点
 多量で粘稠(乳酪状あるいはおから状)で腥臭を伴う白帯。外陰部の湿り感や異和感を伴う。
:随伴症状
 手足の湿り、浮腫、口が粘る、口渇少飲または多飲(冷飲を好む)、泥状便ですっきり排便できない、小
 便短赤など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-黄膩。脈-滑数、濡数など。
:弁証-湿熱阻滞。 :治法-清熱利湿、止帯。
:取穴例
 中極(瀉法)、陰陵泉(瀉法)-清熱利湿。次リョウ(瀉法)-駆邪散滞。帯脈(瀉法)-利湿止帯。

3.脾気虚による白帯
:病因病機
 飲食不節、思慮過度、疲労や過労などによって脾気虚となると水湿の運化が低下し、帯脈を約束すること
 ができずに、陰液が胞宮から流出するためにおこる。
:鑑別点
 臭気のない希薄で多量な白帯。疲労により帯下が増量する。
:随伴症状
 疲労感、無力感、食欲不振、泥状便、元気がない、懶言、食後腹脹、面色萎黄など。
:舌脈 舌質-淡、胖、歯痕、苔-白薄。脈-虚、弱など。
:弁証-脾気虚。 :治法-健脾益気、利湿止帯。
:取穴例
 脾兪(補法)、陰陵泉(補法)-健脾利湿。帯脈(補法)、気海(補法)-固摂任帯。

4.腎気虚による白帯
:病因病機
 先天不足、房事過度、久病、産後の消耗などにより腎精が不足すると固摂作用も低下し、そのために帯脈
 を約束することができず、陰液が胞宮から流出するためにおこる。
:鑑別点
 多量で希薄、無臭な白帯が流れ落ちるように出る。
:随伴症状
 腰膝酸軟、頭のふらつき、耳鳴り、性欲低下、浮腫など、腰腹部や四肢の冷えあるいは寒がるなどの冷え
 症状を伴うこともある。
:舌脈 舌質-淡。舌苔-白薄。脈-沈細などで尺脈無力。
:弁証-腎気不固。 :治法-温補脾腎、固渋止帯。
:取穴例
 関元(灸頭鍼(補法))、脾兪(補法)-温補脾腎。帯脈(補法)。気海(補法)-固摂任帯。