産後の頻尿、尿失禁(産後小便頻数、尿失禁)

投稿者: | 2017年10月13日

☆ 産後の頻尿、尿失禁(産後小便頻数、尿失禁)

このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
この症状でお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。

本症は、産後に排尿回数が異常に増える頻尿(産後小便頻数)と、産後に尿が漏れて自制できない(産後尿
失禁)状態を指し、出産後1週間程度を経過しても症状の改善が診られないものが病態となる。症状は異な
るが、中医学的な鑑別および治療は同じであるのでまとめて説明する。

1.気虚による産後の頻尿、尿失禁
:病因病機
 元来の虚弱体質、周産期に気虚になる、分娩時の消耗、産後の過労などによって気虚となり、その影響で
 水道を制約できなくなるためにおこる。
:鑑別点
 産後小便頻数・尿失禁。下腹部下墜感を感じる。
:随伴症状
 倦怠感、脱力感、精神疲労、頭のふらつき、自汗、食欲不振、息切れ、懶言など。
:舌脈 舌質-淡、胖。舌苔-白薄。脈-緩、弱、虚など。
:弁証-気虚。 :治法-補気固摂。
:取穴例
 脾兪(補法)、肺兪(補法)-補益脾肺。中極(補法)-約束膀胱。

2.腎陰虚による産後の頻尿、尿失禁
:病因病機
 多産、分娩時の出血、精血不足、津液虚損、熱病による傷陰、久病、房事過多、五志過極などによって陰
 血を消耗して腎陰虚となり、虚熱が生じて膀胱気化を失調させたためにおこる。
:鑑別点
 頻尿となるが一回の排尿量は少ない。
:随伴症状
 頬部紅潮、潮熱、盗汗、五心煩熱、口乾、頭のふらつき、消痩、耳鳴り、腰膝酸軟など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-少or無苔。脈-細数。
:弁証-腎陰虚。 :治法-滋陰清熱。
:取穴例
 復溜(先瀉後補)-滋陰降火。太谿(補法)、照海(補法)-補益腎陰。中極(先瀉後補)-通利小便。

3.腎陽虚による産後の頻尿、尿失禁
:病因病機
 分娩時に気血を消耗する、久病による腎の損傷、先天不足、房事過多、外邪による陽気の損傷などによっ
 て腎陽を損傷し、腎気不固となって膀胱を約束することができなくなるためにおこる。
:鑑別点
 頻尿、尿失禁を起こし排尿量が多い。夜間に多尿となる。
:随伴症状
 腰膝酸軟、寒がる、四肢の冷え、精神不振、元気がない、懶言、水様便~未消化便を下痢するなど。
:舌脈 舌質-淡、舌苔-白。脈-沈、遅など。
:弁証-腎陽虚。 :治法-温腎固摂。
:取穴例
 関元(補法または灸頭鍼(補法))-温補腎陽。気海(補法または灸頭鍼(補法))-培補元気。
 中極(補法)-約束膀胱。