顔面神経麻痺

投稿者: | 2017年10月26日

☆顔面神経麻痺

このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
顔面神経麻痺でお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。

*顔面麻痺は末梢性のものと、中枢性のものがある。それぞれ麻痺の出現する主な部位が違うが、治療は
  麻痺の部位に応じて、下記の内容を行うことで対応できる。なお、顔面麻痺のことを中医では、面タン、口
  眼歪斜などとも呼ぶ。

:病因病機
 疲労や過労などにより経筋の栄養が悪くなると経脈が空虚となる。そのような時に風寒の邪が侵襲して阻滞
 し、その影響で経筋が弛緩するために麻痺が出現する。

麻痺の出現している部位別に次のように分類できる。
1.病が主として少陽に波及しているものー少陽タイプ。
2.病が主として陽明に波及しているものー陽明タイプ。
3.病が長期化して肝血虚に進行しているものー肝血虚タイプ。

:主症状
・前額のしわが無くなり、しわを作ることも不可能。
・目は広く開き、閉じることが不可能、または不十分。
・麻痺側の口角の口唇は開き、下がった状態になる。
・患側の口角は健側に引かれ、麻痺側の鼻唇溝は消失、または浅くなる。
・口笛を吹くことが不可能。
・食事を摂ると麻痺側の口中に食物が溜まる。 などの症状が出現する。
:舌苔-白薄。-浮緊、浮緩、沈など。

:随伴症状
・少陽タイプー耳後や耳下の疼痛、聴覚の異常を伴う。
・陽明タイプー麻痺側の舌前2/3の味覚減少または消失を伴う。
・肝血虚タイプー麻痺側の筋の強直あるいは痙攣を伴う。

:弁証ー面タン。
:治法ー舒筋活絡。

:取穴例
;前額部の筋の運動不利に対して
  ・陽白から、それぞれ太陽、頭維、上星、印堂に向けての透刺。
  ・上星、頭臨泣、頭維から後方に向けて透刺。
 ;上眼瞼周囲の筋の運動不利に対して。
  ・攅竹から睛明への透刺。
  ・糸竹空から太陽に向けての透刺。
  ・魚腰穴への刺針。
  ・魚腰から攅竹および魚腰から糸竹空への透刺。
 ;頬部の筋の運動不利に対して。
  ・太陽から地倉に向けての透刺。
  ・四白から睛明に向けての透刺。
  ・下関から迎香に向けての透刺。
  ・下関と迎香の間の排刺。
  ・迎香から睛明に向けての透刺。
 ;口角部の筋の運動不利に対して。
  ・頬車から地倉、地倉から頬車に向けて対刺する。
  ・頬車と地倉の間の排刺。
  ・禾リョウから迎香に向けての透刺。
  ・承漿から地倉に向けての透刺。
   ・健側の合谷(瀉法)-疏通陽明経気。

以上の刺鍼に対する補瀉手技については、急性期には瀉法を行い、、慢性期あるいは後遺症期には補法を
行う。

;配穴として
 ・風池(瀉法)-疏風、疏通少陽経気。
 ・外関(瀉法)-解表。
 ・三陰交(補法)-健脾益気。
 ・太衝(瀉法)-理気、舒筋。
 ・筋の痙攣が強いものにはー觀リョウ、太陽、陽白などに点刺を行う。 などを必要に応じて加穴する。