月経期の不眠(経行不寝)

投稿者: | 2017年10月7日

☆ 月経期の不眠(経行不寝)

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本症は、普段の睡眠は正常であるが、月経前や月経期に不眠となるもので、ひどくなると一睡もできず、月
経が終了すると正常に戻るものを指し、中医では経行不寝という。

1.心肝火旺による経行不寝
:病因病機
 辛いものや刺激物の摂りすぎ、あるいは長期間にわたりストレスを感じる、精神抑欝状態が続く、突然強
 い精神的な刺激を受けるなどによって肝気欝結から肝火上炎となり、その実熱が心に波及するためにおこ
 る。
:鑑別点
 経行不寝。一晩中眠れないことも多い。
:随伴症状
 経早、経量多く鮮紅または暗紅で粘稠、心悸、心胸部の煩燥感、イライラ感、易怒、面紅目赤、口渇多飲
 (冷飲を好む)、熱がる、多夢、めまい、頭痛など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-黄。脈-弦数あるいは洪数。
:弁証-心肝火旺。 :治法-清瀉心肝、寧心安神。
:取穴例
 行間(瀉法)-清肝瀉火。神門(瀉法)、大陵(瀉法)-清心瀉火、寧心安神。風池(瀉法)-清脳安眠。

2.腎陰虚による経行不寝
:病因病機
 出血過多や精血不足、多産、津液虚損、熱病による傷陰、久病、房事過多、五志過極、飲酒過度などによ
 って腎陰が虚して内熱が生じ、虚熱が心神を擾乱するためにおこる。
:鑑別点
 経行不寝。焦燥感を伴うことが多い。
:随伴症状
 経早、経量少なく鮮紅または暗紅で粘稠、陰部の熱感を伴う、頬部紅潮、潮熱、盗汗、五心煩熱、口乾、
 頭のふらつき、消痩、耳鳴り、腰膝酸軟など。
:舌脈 舌質-紅、舌苔-少or無苔。脈-細数。
:弁証-腎陰虚。 :治法-滋陰降火、安神。
:取穴例
 復溜(先瀉後補)-滋陰降火。太谿(補法)、照海(補法)-滋陰補腎。

3.心脾両虚による経行不寝
:病因病機
 飲食不節、労倦、思慮過度、月経過多などにより脾を損傷すると心血も損傷しやすく、思慮過度、月経過
 多などにより心血を損傷すると脾虚となりやすくなる。そのために気血の生成が悪くなり気血両虚の状態
 になると、心が栄養されなくなるために不眠となる。
:鑑別点
 経行不寝。
:随伴症状
 経早、経量が多く希薄で淡紅、心悸、不眠、精神不安、頭のふらつき、面色不華、倦怠感、脱力感、食欲
 不振、泥状便など。
:舌脈 舌質-紅。脈-弦細、弦細数。
:弁証-心脾両虚。 :治法-補益心脾、養神安神。
:取穴例
 神門(補法)、三陰交(補法)-補益心脾。脾兪(補法)-健脾益気。百会(補法)-昇陽益気。