無月経(経閉)

投稿者: | 2017年10月3日

☆ 無月経(経閉)

このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
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本症は、月経が発来したあとに、妊娠期や授乳期以外に、また絶経後以外の時期に3ヶ月以上月経が停止
するもの、あるいは18才を超えても来潮しないものを指し、併せて下記のような何らかの全身症状を伴う状
態を中医では経閉という。なお、50歳前後に自然と月経が停止することは中医では“絶経”という。

1.血オによる無月経
:病因病機
 肝気欝結、寒邪や熱邪、湿邪などの停滞による気滞からの波及、あるいは外傷、手術、悪露の停滞などが
 原因となってオ血が生じ、胞宮に停滞するために経閉となる。
:鑑別点
 経閉。下腹部の強い痛み(刺痛あるいは絞痛)、腹部圧痛(拒按)を伴う。
:随伴症状
 疼痛は固定性で、ひどくなると下腹部に腫塊を形成するなど。
:舌脈 舌質-紫暗、オ斑、オ点など。脈-渋など。または舌脈正常。
:弁証-血オ。 :治法-活血化オ、調経。
:取穴例
 太衝(瀉法)、三陰交(瀉法)-理気活血。気海(瀉法)-行気散滞。

2.痰湿による無月経
:病因病機
 脂濃いものや甘いもの、味の濃いものの過食やアルコールの常飲、外界の湿邪、月経期に性交する、ある
 いは肝欝気滞から痰湿阻滞を引きおこすなどによって生じた痰湿が、胞宮に侵入するために経閉となる。
:鑑別点
 月経周期が延長し、経量が少なくなり、次第に経閉となる。手足や陰部、全身の湿りを伴う。。
:随伴症状
 経血暗紅、経量が少なく粘稠で線状物が混じる、粘稠な白帯または黄帯、浮腫、痰が多い、胸苦しい、水分
 を飲むと吐く、食欲不振、頭重、めまいなど。
:舌脈 舌苔-白膩。脈-滑など。
:弁証-痰湿阻滞。 :治法-去痰降濁、調経。
:取穴例
 豊隆(瀉法)-化痰降濁。気海(瀉法)、中極(瀉法) -行気利水、通調胞宮。

3.腎気虚による無月経
:病因病機
 先天不足、房事過度、久病、高齢あるいは出産時の失血過多による精血の不足などにより腎精が不足す
 ると、衝任胞宮が空虚となるために経閉となる。
:鑑別点
・18才を過ぎても発来しない、あるいは月経周期が延長し、経量が少なくなり、次第に経閉となる。
:随伴症状
 腰膝酸軟、性欲減退、耳鳴り、難聴、脱毛、歯の動揺、長時間の起立ができない、健忘、早老など。
:舌脈 舌質-淡。脈-沈細などで尺脈無力。
:弁証-腎気虚。 :治法-温補腎陽、調補衝任。
:取穴例
 関元(補法または灸頭鍼)、腎兪(補法)。太谿(補法) -温補腎陽、補益精血。子宮(補法)-調補衝任

4.気血両虚による無月経
:病因病機
飲食不節、疲労・過労、思慮過度、久病などによって気虚となり、同時に慢性病による体力の消耗、慢性的
な出血、多産による精血の消耗などのために血虚となり、気血両虚となって胞宮を栄養することができなく
なるために経閉となる。
:鑑別点
月経周期が延長し、経量が少なくなり、次第に経閉となる。
:随伴症状
めまい、面色淡白または萎黄、口唇や爪の色が淡白、不眠、心悸、精神疲労、倦怠感、無力感、息切れ、
懶言、自汗など。
:舌脈 舌質-淡。脈-細弱など。
:弁証-気血両虚。 :治法-気血双補、調補衝任。
:取穴例
合谷(補法)、血海(補法)-補益気血。脾兪(補法)-健脾益気。子宮(補法)-調補衝任。

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