☆ 月経量が少ない、月経期間が短い（月経過少）
このページは、鍼灸師、医師向けの鍼灸治療法を紹介するページです。
月経量が少ないためにお悩みの方は、はりきゅうマッサージ すこやかな森 で治療をお受けいただけます。
本症は、月経周期は正常だが経量が少ない、甚だしくなるとほとんど出血しない、あるいは月経期間が短い
ものを指し、中医では月経過少という。正常な月経を過ごしているものが、たまに経量が少なくなる程度では
本症にはあたらない。また、更年期近くになって次第に経量が少なくなるのは絶経の兆候であるため正常で
ある。また、本症が長引くと、経閉や不妊を引きおこすことが多いので、早めの改善が必要である。
1.血オによる月経過少
：病因病機
肝気欝結、寒邪や熱邪、湿邪などの停滞による気滞からの波及、あるいは外傷、手術、悪露の停滞などが
原因となってオ血が生じ、胞宮に停滞するために月経過少となる。
：鑑別点
月経過少。下腹部の強い痛み（刺痛あるいは絞痛）。
腹部圧痛（拒按）を伴い血塊が多く、血塊が排出されると痛みは軽減する。
：随伴症状
経遅、経血紫暗で少なく血塊が混じる、下腹部痛は固定性で、甚だしいときは下腹部に腫塊を形成する。
：舌脈 舌質－紫暗、オ斑、オ点など。脈－渋など。または舌脈正常。
：弁証－血オ。 ：治法－活血化オ、調経。
：取穴例
太衝（瀉法）、三陰交（瀉法）－疏肝活血。帰来（瀉法）－活血散滞。
2.痰湿による月経過少
：病因病機
脂濃いものや甘いもの、味の濃いものの過食やアルコールの常飲、外界の湿邪、月経期に性交する、あ
るいは肝欝気滞から痰湿阻滞を引きおこすなどによって生じた痰湿が、胞宮に侵入するために月経過少
となる。
：鑑別点
月経過少。手足や陰部、全身の湿り感をともなう。
：随伴症状
経遅、経血暗紅、経量が少なく粘稠で線状物が混じる、粘稠な白帯または黄帯、浮腫、痰が多い、胸苦し
い、水分を飲むと吐く、食欲不振、頭重、めまいなど。
：舌脈 舌苔－白膩。脈－滑など。
：弁証－痰湿阻滞。 ：治法－去痰降濁、調経。
：取穴例
豊隆（瀉法）－化痰降濁。気海（瀉法）、中極（瀉法） －行気利水、通調胞宮。子宮(補法)－調補衝任。
3.寒凝による月経過少
：病因病機
月経期や妊娠期に風寒の邪を感受したり、冷たいもののを多飲・多食する、雨に濡れるなどによって身体
を冷やし、そのために寒邪が胞宮に侵入し、気機を阻滞させるためにおこる実寒証である。
：鑑別点
月経過少。月経前や月経期に強い下腹部痛（絞痛などで拒按）。
温めると痛みは軽減し冷やすと増強する。
：随伴症状
経遅、経血は暗紅色～暗黒色、薄くて少量、血塊が混ざる、面色蒼白、四肢の冷え、寒がるなど。
：舌脈 舌質－淡暗、苔－白滑。脈－沈遅、沈緊など。
：弁証－寒凝胞宮。 ：治法－温経散寒、調経。
：取穴例
帰来（灸頭鍼（瀉法））、気海（灸頭鍼（瀉法））－温経散寒。。次リョウ（瀉法）－駆邪散滞。
4.血虚による月経過少
：病因病機
脾虚による生血不足、失血過多、久病、多産による精血の消耗などによって血虚となると、衝任胞宮を充
足することができないために月経過少となる。
：鑑別点
月経過少甚だしければ滴下する程度。経遅、経血は淡紅で希薄。
：随伴症状
月経後半あるいは月経終了後に下腹部隠痛（喜按）、面色萎黄または淡白で不華、口唇や爪が淡白、不
眠、めまい、目のかすみ、四肢のシビレ感など。
：舌脈 舌質－淡紅。脈－細弱など。
：弁証－血虚。 ：治法－養血調経。
：取穴例
血海（補法）、三陰交（補法）、膈兪（補法）－大補営血。。子宮（補法）－調補衝任。
5.気血両虚による月経過少
：病因病機
飲食不節、疲労・過労、思慮過度、久病などによって気虚となり、同時に慢性病による体力の消耗、慢性
的な出血、多産による精血の消耗などのために血虚となり、気血両虚となって胞宮を栄養することができ
なくなるために月経過少となる。
：鑑別点
月経過少、甚だしければ滴下する程度。経遅、経血は淡紅で希薄。下腹部下墜感を感じる。
：随伴症状
希薄な白帯、疲労感、無力感、食欲不振、泥状便、元気がない、懶言、食後腹脹、面色萎黄、口唇や爪が
淡白、目のかすみなど。
：舌脈 舌質－淡、胖、歯痕、苔－白薄。脈－虚、弱など。
：弁証－気血両虚。 ：治法－気血双補、調補衝任。
：取穴例
脾兪（補法）、血海（補法）－健脾生血。子宮（補法）－調補衝任。
6.腎気虚による月経過少
：病因病機
先天不足、房事過度、久病あるいは出産時の失血過多による精血の不足などにより腎精が不足すると、
衝任胞宮を充足することができないためにおこる。
：鑑別点
月経過少。経遅または経乱、経血は淡紅で希薄、量が少ない。
：随伴症状
月経後半あるいは月経終了後に下腹部鈍痛（喜按）、腰膝酸軟、めまい、頭のふらつき、耳鳴り、性欲
低下など。
：舌脈 舌質－淡。脈－沈細などで尺脈無力。
：弁証－腎気虚。 ：治法－補益腎気、調補衝任。
：取穴例
関元（補法または灸頭鍼（補法））、腎兪（補法）、血海（補法）－温補腎陽、補益精血。
子宮（補法）－調補衝任。